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その手の痛み、様子見でよいか迷っていませんか
ペットボトルのフタが開けにくい、包丁を握ると親指の付け根がずきりと響く。家事や仕事の手は止められず、湿布でしのいでいる方も多いのではないでしょうか。手の痛みは、自宅でのセルフチェックであたりをつけることで、受診を考える際の手がかりが得られます。 ここでは確認の手順と、整形外科で行われる検査やリハビリテーションの流れを整理します。
この記事の要点まとめ
- 手の痛みは動かす部位やしびれの有無を確認することで、状態を把握する目安になります。
- 痛みが2週間以上続く場合や日常動作に支障があるときは、早めの医療機関への相談が役立ちます。
- 整形外科では詳細な検査を行い、生活リズムに合わせた装具療法やリハビリテーションを進めます。
手の痛みを見極めるセルフチェックと代表的な原因疾患

手には骨・関節・腱・神経が狭い範囲に密集していて、痛む場所や動かし方によって関わる組織が変わってきます1。まずは「どこが」「どの動きで」痛むのか、自分で整理してみましょう。
親指や手首を動かして確認する具体的なチェック手順
よく知られているのが、親指側の腱を評価するフィンケルシュタインテストです。親指を手のひら側へ折り込み、残りの指で包むように軽く握ってから、手首をゆっくり小指側へ倒します。 このとき手首の親指側にズキッと走る痛みが出るようなら、腱と腱鞘のあいだで摩擦が起きている状態が疑われます。反動をつけると刺激が強まるため、痛みを感じた時点で中止してください。
あわせて、次の点も見ておくと受診時の説明がスムーズになります。
- 朝と夕方で痛みやこわばりに差があるか
- 指の曲げ伸ばしで引っかかりや弾かれる感覚があるか
- 手首の親指側が腫れて熱っぽくないか
- 指先にしびれがあり、範囲は親指〜薬指側か小指側か
腱鞘炎(ドケルバン病・ばね指)や手根管症候群の症状の違い
手首の親指側が痛むドケルバン病は、親指を広げる腱の通り道で炎症が起きている状態。産後や更年期など、ホルモン環境が変わる時期にみられることが知られています。指の付け根が痛み、曲げ伸ばしのときに引っかかる感じがあれば、ばね指も候補に挙がります。
一方、指先のしびれが中心で、夜間や明け方に強まるようなら、手根管症候群のように神経が関与している可能性も。左右対称に複数の指がこわばり、朝のこわばりが長引くときは、関節リウマチなど全身性の要因も鑑別の対象になります。首から腕へ放散する痛みやしびれでは頚椎が、また痛風や糖尿病といった内科的な要因が背景にあることもあります。セルフチェックはあくまで目安であり、最終的な判断は診察と検査を経て行われます。
我慢せず整形外科を受診すべき症状の目安と判断基準
「使いすぎだから、休めば落ち着くだろう」と考えて先延ばしになりがちですが、状態によっては早めに相談しておくことで、検討できる手立ての幅が広がります。
早期の相談を推奨したいサインと日常生活への支障度
目安として、次のような状態が続くときは自己判断で様子を見続けず、医療機関で確認しておきましょう。
- 2週間以上、安静や湿布をしても痛みが変わらない、または強まっている
- ペットボトルのフタが開けられない、包丁や箸が握りにくいなど日常動作に支障が出ている
- 夜間もズキズキと痛み、睡眠が妨げられる
- 腫れや熱感、赤みがはっきりしている
- しびれや力の入りにくさがあり、範囲が広がってきた
- 指の変形が進んできた、こわばりが毎朝30分以上続く
とくに、けがのあとに急な腫れや強い痛み、指先の色調変化を伴う場合、あるいは発熱を伴って手が赤く腫れる場合は、時間をおかずに医療機関へご連絡ください1。
手の痛みで何科を受診すべきか迷ったときの選び方
手の痛みには骨・関節・腱・神経のいずれもが関わり得るため、これらをまとめて評価できる整形外科が入口として考えやすい診療科になります1。診察と画像検査で原因の見当をつけたうえで、全身の関節症状や血液検査の所見からリウマチ性疾患が疑われるとき、頚椎や内科的な要因が想定されるときには、必要に応じて該当する診療科と連携しながら進めていきます。
受診の際は、いつから・どの動作で・どこが痛むのか、仕事や家事でどんな手の使い方をしているのかをメモしておくと、状況が伝わりやすくなります。市販薬やサポーターの使用状況、痛みが強まる時間帯も、あわせてお聞かせください。
「湿布だけ」ではない整形外科での詳しい検査とリハビリ対応

「行っても湿布で終わりでは」という思いは、受診が遅れる理由のひとつでしょう。実際には、状態を客観的に確かめる検査と、生活を続けながら取り組める対応が組み合わされます。
レントゲンや超音波(エコー)検査で患部を詳細に把握する
レントゲン検査では、関節のすき間や骨の変形、石灰化などを確認します。これに対し、腱や腱鞘、神経といった軟らかい組織は、超音波診断装置(エコー)で動かしながらその場で観察できるのが特徴。腱の厚みや周囲の炎症所見、手首の中を通る神経の様子などを、画面を一緒に見ながら説明を受けられます。
当院では、診断の手がかりをできるだけ多く集め、治療方針の検討につなげられるよう、デジタル透視機能付レントゲン、骨密度測定装置(DEXA)、超音波診断装置を導入しています。手の症状は、骨密度の低下と関わる骨折後の変化が背景にあることもあるため、必要に応じて幅広い視点から確認していきます。
仕事を続けながら無理なく取り組める保存療法とリハビリテーション
手の痛みでは、負担のかかる動作を減らすことがまず基本になります。装具やサポーターで一時的に固定して安静を保ちながら、消炎鎮痛薬の外用・内服、状態によっては注射といった選択肢を、症状や生活の様子に合わせて相談しつつ決めていきます1。
リハビリテーションでは、ホットパックなどの温熱や低周波治療器を用いた物理療法に加え、腱の滑走を促すストレッチ、手の使い方の工夫、道具の持ち方の調整などをお伝えします。当院は広々としたリハビリ室を備え、一人ひとりの計画立案から実施、評価まで一貫して対応しています。仕事や介護を長く休まずに通院を続けられるよう、生活の実態に沿った方法を一緒に組み立てていくことを心がけています。 手術を検討するかどうかは、経過や検査所見を踏まえて慎重に判断します。
よくある質問
Q1. 腱鞘炎の受診の目安を教えてください。
A. 数日間の安静や市販の外用薬を用いても痛みの変化が乏しい、フタを開ける・箸を持つといった動作に支障が出ている、腫れや熱感が続く。こうした場合は、目安として医療機関へご相談ください。痛みが夜間まで続くときも、早めの確認をご検討ください。
Q2. 腱鞘炎の重症度はどのように確認しますか。
A. 一般には、特定の動作でのみ痛む段階、日常動作全般で痛む段階、安静時や夜間も痛む段階、といった支障の広がりで整理します。診察では圧痛の部位や可動域、超音波検査での腱や腱鞘の状態も併せてみていきます。自己判断だけで段階を決めず、診察結果と照らし合わせることが大切です。
Q3. 手根管症候群のセルフチェックはありますか。
A. 親指から薬指側にかけてのしびれ、夜間や明け方にしびれで目が覚める、手首を曲げた姿勢を1分ほど保つとしびれが強まる。こうした点が手がかりになります。ただし首の疾患などでも似た症状が生じるため、鑑別には診察が必要です。
Q4. 手のリウマチではどのような初期症状がみられますか。
A. 朝のこわばりが長引く、左右の指の関節が対称的に腫れる、複数の関節が同時に痛むといった状態が挙げられます。血液検査や画像検査を組み合わせて評価しますので、気になるときはご相談ください。
Q5. 仕事を長く休まずに通院できますか。
A. 手の痛みでは、装具やリハビリテーションなど保存的な対応から検討していくことが一般的です。勤務内容や家事・介護の状況を伺ったうえで、通院間隔やご自宅で行えるケアを調整していきます。
参考文献
1. 公益社団法人 日本整形外科学会. https://www.joa.or.jp/
2002年 札幌医科大学麻酔科入局、札幌医科大学医学部附属病院 麻酔科
2003年 旭川赤十字病院 麻酔科
2004年 帯広厚生病院 麻酔科
2005年 横浜市立大学整形外科入局、横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
2006年 聖ヨゼフ病院(横須賀市) 整形外科
2008年 藤沢市民病院 整形外科
2010年 国際医療福祉大学熱海病院 整形外科
2012年 平塚共済病院 整形外科・手外科センター 医長
2015年 熊本機能病院 整形外科(国内留学)
2016年 横浜市立大学 整形外科助教 上肢・腫瘍グループ
2017年 同グループチーフ
2018年 一宮西病院 整形外科 副部長
2023年 たけもと整形外科 開院
2026年 医療法人紫翠会 木曽川たけもと整形外科 理事長
日本整形外科学会/日本専門医機構 整形外科専門医
日本手外科学会 手外科専門医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
麻酔科標榜医
産業医、日本医師会認定産業医
小児運動器疾患指導管理医師
身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由)
難病指定医
臨床研修指導医
【所属学会】
日本整形外科学会
日本手外科学会
日本骨粗鬆症学会
日本整形外傷学会
日本運動器科学会
日本肘関節学会
中部日本整形外科災害外科学会
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