手の指の付け根に生じる痛みには、さまざまな原因があります。
指の付け根に痛みが生じる病気は「ばね指」が有名ですが、それ以外の病気にかかっている場合もあるのです。
この記事では、痛みの原因となる病気の種類と、その症状・原因・治療法を紹介します。
目次
■指の付け根に痛みが生じる病気とは
指の付け根に痛みが出る病気は、多くの場合、手や指を繰り返し使い続けることが原因です。
指の付け根に痛みを感じる病気には以下のようなものがあります。
・ばね指
・母指CM関節症
・腱鞘炎
指の付け根に痛みが生じる点は共通していますが、痛みを出すメカニズムや治療方法は違います。
それぞれの病気の特徴や症状、原因、治療法をよく理解し、痛みが出現した時に、適切な対応をとれるようにしましょう。
■ばね指
ばね指は、手の腱に炎症が生じてしまい、指が曲がったままになる病気です。
症状や原因、治療法を詳しく見ていきましょう。
◎ばね指の症状
ばね指になった場合には以下のような症状が現れます。
・指の付け根の腫れ
・指の付け根が熱を持つ
・指の付け根の痛み
・指が曲がったまま伸ばせない
ばね指になると指が曲がったままになり、伸ばそうと力を加えると、動きに伴って痛みが生じます。
また、内部で炎症が起きているために、指自体の腫れや熱を持つ感じが出るでしょう。
症状は急激に出るよりも、徐々に動かしにくさや違和感が出ることがあるので、気づいた場合には早めに受診することをおすすめします。
◎ばね指の原因
ばね指は手や指の使いすぎによって生じます。
そのため、家事やスポーツ、子育てなどをしている方が発症しやすいです。
特に更年期の女性や、出産前後の女性に多いとされています。
また、以下の病気にかかっていると、ばね指を生じやすくなります。
・糖尿病
・関節リウマチ
・透析を必要とする病気(腎不全など)
これらの病気をお持ちの方は、指の動きや痛みに気を付けましょう。
◎ばね指の治療法
ばね指の治療方法には以下があります。
・リハビリテーション
・物理療法
・ステロイド薬の注射
・手術
基本的にはリハビリテーションや、温熱療法などの物理療法、注射といった保存療法で様子を見ます。それでも症状が緩和せず、日常生活に支障が出ている場合は手術を実施することも。治療方針は医師とよく相談して決めましょう。
■母指CM関節症
母指CM関節症とは、親指の付け根に痛みが生じる関節の変形です。
母指CM関節症について詳しく見ていきましょう。
◎母指CM関節症の症状
母指CM関節症では、以下のようなタイミングで親指に痛みが出現します。
・ものをつまむ
・ビンの蓋を開ける
・ドアノブを回す など
親指に力を入れて握りこんだり、強い力を必要とするときに痛みが生じるでしょう。
人によっては、痛みからものを落としてしまいケガに繋がることも。
また、症状が長引くと、付け根は伸びたままになり、指先が曲がる「スワンネック変形」が起こることもあります。
長引くことで治療も難しくなるため、症状を自覚した場合は早めに検査を受けてください。
◎母指CM関節症の原因
母指CM関節症は、親指や手首へ繰り返し力を入れることが原因となります。親指は他の4本の指と向き合うため、使用する頻度が多い指です。そのため使いすぎで関節が摩耗しやすく、炎症も起こりやすくなります。
◎母指CM関節症の治療法
母指CM関節症の治療法には以下があります。
・湿布薬
・内服薬(痛み止め)
・関節内注射
・装具の処方
・手術
基本的には薬の使用や装具による関節の安静などを行いますが、重症の場合は手術を実施する場合もあります。
摩耗した関節面を切り取り、靭帯を再建する(作り直す)ことで、痛みを消すことが可能です。
■腱鞘炎
腱鞘炎とは、腱を覆う「腱鞘」(けんしょう)に炎症が起こる病気です。
腱鞘炎の症状や原因、治療法を見ていきましょう。
◎腱鞘炎の症状
腱鞘炎では以下のような症状が出現します。
・指の付け根の痛み
・手首の痛み
腱鞘炎の場合、指の付け根だけでなく手首にも症状が出現する可能性があります。
そのため、検査を行い他の病気との判別を行なうことが大切です。
◎腱鞘炎の原因
腱鞘炎もまた、同じ動作を繰り返すことで炎症が生じます。
キーボードのタイピングや何かものを掴む動作などを繰り返すことがある方は、腱だけでなく腱鞘も傷める可能性があるため注意しましょう。
◎腱鞘炎の治療法
腱鞘炎の治療法は以下があります。
・服薬
・ステロイド注射
・手術
保存療法で効果が見られない場合、腱鞘を開く手術を行う場合があります。
神経を傷つけないよう慎重に行う必要があるため、専門的な知識・技術が必要となります。
【指の付け根の痛みは整形外科へご相談ください】
指の付け根に痛みを出す病気はひとつではないため、専門医による検査と適切な治療が必要です。
長期化すると治療も難しくなるため、早めに専門的な治療を受けられる整形外科へお越しください。