スマホが普及したことで増えている「スマホ腱鞘炎」をご存じでしょうか?
いまや学生から社会人まで、誰もが当たり前にスマホを使う世の中になりました。
これに伴い、整形外科では、スマホを使う人に特徴的な腱鞘炎の相談も増えているのです。
手首の痛みが出てしまうのを防ぐため、スマホ腱鞘炎の原因や対処法、対策を理解しておきましょう。
目次
■スマホ腱鞘炎ってなに?
「スマホ腱鞘炎」とは、正式な病名ではなく「スマホの使いすぎによって生じた」腱鞘炎のことを指します。
スマホ腱鞘炎では、以下のような症状が出現するのが特徴です。
・手首が動かしにくい
・手を動かすと痛みが出る
・痛みで画面をスクロールできない
・親指の付け根が腫れる
・痛みの出る場所が熱くなる など
これらの症状が顕著な場合、スマホの使いすぎで腱鞘炎が生じている可能性があります。
■ スマホ腱鞘炎の原因
スマホ腱鞘炎は、名前の通りスマホが原因で生じます。
同じ側の手でスマホを使い続ける方に発症しやすく、また、スマホの持ち方や使用の仕方が偏っていると、症状が出現しやすくなるのが特徴です。
「腱鞘炎」は、手や指が同じ動きを繰り返し、手首の腱と腱鞘(腱を覆っている組織)が擦れて炎症が起こることで生じます。
スマホを片手で使用する場合、親指を何度も繰り返し動かしてスクロールします。
何度も繰り返し動かしているうちに腱と腱鞘の間が擦れ、炎症が起きてしまうでしょう。
また、妊娠中や出産前後の女性、更年期の女性にも生じやすいとされています。
年齢や時期が該当する方は、特にスマホの使い方に注意しましょう。
■スマホ腱鞘炎が起こるのは親指側?小指側?
スマホ腱鞘炎は、スクロールの際にたくさん動かす「親指側」によく発生します。
親指の付け根、手首に近い関節のあたりに痛みや熱が出る為、その部位に痛みを感じる方は、スマホ腱鞘炎の可能性があるでしょう。
なお、片手でスマホを使用する際に、小指にスマホの縁を乗せて支える方は「スマホ指」になりやすくなります。
小指の付け根に痛みが出たり、小指の関節に変形が生じたりするため、長時間片手でスマホを使用する方は注意が必要です。
■スマホ腱鞘炎のチェック方法を紹介!
スマホ腱鞘炎かどうかは「整形外科的テスト」を行なうことでチェック可能です。
腱鞘炎の検査方法である「フィンケルシュタインテスト」を行い、痛みが手首に出れば陽性となります。
- 痛みのある側の親指を他の4本指で握る
- 手首を小指側に傾ける
- 手首や親指の付け根に痛みが出現したら陽性
このテストは自分でも簡単に行なえるため、スマホを使用中に痛みが出る方は気軽に行なってみてください。
もし痛みが出た場合は、すぐに整形外科を受診し、腱鞘炎かどうか診断を受けましょう。
■スマホ腱鞘炎の対処法と治し方
スマホ腱鞘炎の症状がみられた場合、まず痛みのある側の手で使用するのは控えましょう。
手首のサポーターやテーピングを実施することで、ある程度動きをサポートし、痛みを抑えることが可能です。
腱鞘炎の治し方は、腱鞘に炎症を抑える注射、手首の固定などにより、腱や腱鞘の炎症を抑える治療を行います。
それらの治療で効果が見られず、痛みや炎症を何度も繰り返す場合には、腱鞘を切開する手術を行うことも選択肢のひとつです。
治療方針は、痛みの程度や患部の検査結果、医師の判断によって決定します。
重症化すると治すのも難しくなるため、早めに医師へ相談しましょう。
■手軽にできるスマホ腱鞘炎対策とは?
スマホ腱鞘炎を予防する方法には、以下の方法があります。
- 両手でスマホを使用する
- スマホを使用する手を適度に交換する
- 手首や指のストレッチ・マッサージを行う
片手でスマホを使用すると、親指でスクロールする回数が増え、腱鞘に負担がかかります。
片方の手で支え、もう片方の人差し指でスクロールすれば、親指の使いすぎを抑えられるでしょう。
また、スマホを使用する手を交互に変えることで、片方の親指の使いすぎを防ぎ、腱鞘炎を予防可能です。
片手で使用する癖がある方は、なるべく交互に使用するように気を付けましょう。
なお、腱鞘炎の起こる周囲をマッサージすることで、血流を促進し痛みを緩和する効果が期待できます。
長時間スマホを使用した後は、手首の周りをマッサージしたり、前腕の筋肉をストレッチしたりして、腱鞘炎の発生や悪化を予防しましょう。
■スマホ腱鞘炎かな?と思ったら、早めに整形外科を受診しましょう
スマホ腱鞘炎は、現代人であれば誰にでも起こる可能性があります。
使用方法に気を付けたり、マッサージやストレッチを行ったりして、スマホ腱鞘炎の発生と悪化を予防しましょう。
「たけもと整形外科」では、腱鞘炎の診断や治療、予防に役立つアドバイスなどを行なっています。
スマホを使うと痛みを感じる方、手首に痛みや違和感がある方は、お早めに当院へご相談ください。