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腰痛が目立たなくても、お尻から脚のしびれには腰の疾患が関わる場合があります
坐骨神経痛はお尻から脚に出る痛みやしびれの総称であり、腰自体の痛みが弱くても腰椎の疾患が原因となっていることがあります。
この記事では、関係する腰の病気や動作とのつながり、症状だけで原因を断定できない理由と検査の役割、さらに受診を考える目安を整理します。疲れのせいにして様子を見るべきか迷うときの判断材料としてお役立てください。
この記事の要点まとめ
- 坐骨神経痛は、お尻から脚にかけて出る痛みやしびれのことです。腰があまり痛まなくても、腰の骨の病気がかかわっていることがあります。
- 症状だけでは原因を決められないため、診察やレントゲンなどで状態を確かめ、必要なときはくわしい検査をします。
- しびれが続く、歩き方が変わってきたときは受診の目安です。おしっこや便の異常、急に力が入らないときは、すぐに相談しましょう。
坐骨神経痛の原因は腰にあることも|腰痛が弱くても見逃せない脚の症状

坐骨神経痛は病名ではなく、腰の疾患が隠れていることがある
坐骨神経痛とは病名ではなく、お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足先にかけて現れる痛みやしびれといった症状の総称です。背骨の腰の部分(腰椎)から脚へと伸びる神経が圧迫や刺激を受けることで生じます。
脚の痛みの原因としてよくあるのは、腰の骨の病気です。たとえば、椎間板(骨と骨の間のクッション)が飛び出す腰椎椎間板ヘルニア、神経の通り道がせまくなる腰部脊柱管狭窄症、骨が前後にずれる腰椎すべり症などがあります。腰そのものはあまり痛まないまま、お尻や脚の症状だけが強く出ることも少なくありません。
歩くとつらく休むと楽になる、荷物の積み下ろしで出る|症状の出方の手がかり
どのような場面で症状が強まるかは、原因を探る手がかりになります。代表的な症状の出方と、関係が考えられる状態を整理しました。
| 症状が出やすい場面・特徴 | 関係が考えられる主な状態 |
|---|---|
| 歩くと脚がつらくなり、前かがみや休憩で軽くなる(間欠跛行) | 腰部脊柱管狭窄症などによる神経の圧迫 |
| 前かがみ、荷物の持ち上げ、長時間の座り姿勢で強まる | 腰椎椎間板ヘルニアなど椎間板への負荷 |
| 腰から脚へ一瞬ピリッと電気が走るような痛みが響く | 神経の通り道での瞬間的な刺激や圧迫 |
運転のあとや荷物の積み下ろしで症状が出るかどうかも、診察時の大切な情報です。ただし、これらはあくまで傾向であり、症状の出方だけで特定の病気を決めつけることはできません。
腰痛が目立たなくても、脚のしびれや歩きにくさは相談の対象
「腰が強く痛むわけではないから、筋肉の疲れだろう」と受診をためらう方もいらっしゃいます。当院では、膝・股関節・足について、強い痛みだけでなく違和感やしびれ、歩きにくさも相談の対象としており、症状が悪化する前の受診を呼びかけております。
診察では、しびれが始まった時期やきっかけとなる動作の有無、しびれの強さや広がっている範囲などを詳しくお聞きします。買い物の途中で立ち止まってしまう、仕事での運転や家族の送迎に支障が出始めているといった日常のお困りごとも、整形外科へ相談する十分な理由になります。気になる変化が続く際はお気軽にご相談ください。
症状だけで原因を断定できない理由と、診察・レントゲン検査の役割
痛む場所だけで決めず、骨・筋肉・神経から原因を調べる
お尻やふくらはぎが痛むからといって、その場所だけに原因があるとは限りません。当院では、痛みという訴えだけを見るのではなく、原因を特定するために骨・筋肉・神経など複数の部位を調べる必要があると考えています。そのためにレントゲンなどの検査機器をそろえています。
脚に出る症状には、腰椎の病気のほかに、お尻の筋肉(梨状筋など)による神経の圧迫や、股関節の病気など、別の原因が隠れていることもあります。また、体の左右どちらかの神経に沿って、痛みと赤いぶつぶつや水ぶくれが帯のように出る帯状疱疹という病気もあります1。自己判断で「単なる筋肉疲労」と決めつけず、複数の視点から調べることが大切です。
症状の聞き取りと必要な検査で、原因と対応を考える
当院では、診察で症状を丁寧に聞き取り、必要に応じて各種検査を行います。診察時には、実際の歩き方やしびれている領域、脚の筋力や感覚の状態などを確かめます。運転の姿勢や荷物の扱いなど、日常の動作との関わりもあわせてお聞かせください。
当院では、診察や検査の結果をもとに一人ひとりに合わせた治療計画を立て、医師や理学療法士、作業療法士が治療やリハビリを担当いたします。治療は状態に合わせて、飲み薬などのお薬や物理療法、無理なく動かせる範囲から始めるリハビリなどを組み合わせて進めます。リハビリの計画づくりから実施、ふり返りまでを一貫して行い、段階をふんで進めていきます。
レントゲンでわかること、画像だけでは決められないこと
レントゲン(X線)検査では、腰の骨の並び方や変形、骨と骨の間の狭さなどを確かめられ、骨のずれ(すべり)もレントゲンで調べます。一方で、神経そのものや椎間板の詳しい状態はレントゲンだけでは映りにくいという側面もあります。
また、画像上で加齢に伴う骨の変化が見つかっても、それが現在の痛みやしびれの直接の原因とは限らないケースも少なくありません。そのため、画像所見だけで判断するのではなく、診察で確認したお体の状態と照らし合わせて総合的に考える必要があります。
より精密な検査や治療が必要な場合は、連携医療機関へ
レントゲンの写りだけでは脚のしびれを説明しにくいときは、MRIなどのくわしい画像の検査や、整形外科以外の病気の可能性も考えます。当院では、院内だけで診療を終わらせるのではなく、よりくわしい検査や治療が必要なときは連携する医療機関へご紹介しています。MRIなどの検査は、近くの総合病院にお願いしています。
ポイント
痛む場所だけで原因を決めつけず、診察で神経や筋肉の状態を、レントゲンで骨の状態を確かめ、必要に応じて連携医療機関での精密検査へつなげる順序が大切です。
坐骨神経痛で受診するタイミング|すぐ相談すべき兆候と、仕事を続けながら考える目安
排尿・排便の異常や急に脚の力が入りにくいときは、早めの受診を
腰から脚の症状の中には、様子を見ずに速やかな対応が求められるサインがあります。次のような変化が現れた場合は、通常の受診予定を待たずに医療機関へ相談してください。
- 尿が出にくい、または意図せず漏れてしまう、便の感覚がわかりにくい
- お尻のまわりや股の周囲の感覚が鈍い
- 急に足首や足の指に力が入りにくくなり、スリッパが脱げる、つまずきやすい
- しびれや脱力が両脚に広がってきた
- 安静にしていても痛みが強まる、発熱や原因のわからない体重減少を伴う
とくに、おしっこや便が出にくい・もれてしまう(膀胱直腸障害)、急に脚が動かしにくいといったときは、急いで処置や手術が必要になることもあります。その場合は、設備のととのった総合病院を受診してください。夜や休みの日であれば、救急の相談窓口を使うことも考えてください。
しびれが続く、休みながらでないと歩けないときの相談の目安
緊急のサインがなくても、お尻から脚の痛みやしびれが数週間続いている場合や、続けて歩ける距離が短くなっている場合は、我慢を重ねず整形外科へ相談する目安となります。配送や運転の仕事、ご家族の通院送迎や買い物といった日常の予定に支障が出ているときも、早めの確認が勧められます。
受診までの間、荷物を持つなどしびれが強まる動作を伴う作業は、可能な範囲で控えていただくのが無難です。一方で、過度に安静にしすぎるよりも、痛みが強まらない範囲で日常の動作を保つほうがよい場合もあります。仕事を続けながらどう動くべきかは原因によって異なるため、診察を受けたうえで調整していきましょう。
受診前にメモしておきたい、症状の場所と生活場面の記録
限られた診察時間の中で状態をわかりやすく伝えるには、事前の簡単なメモが役立ちます。
- 症状の場所と左右差:右のお尻からふくらはぎ、足先までなど
- 始まった時期と経過:3週間前から、徐々に強くなっているなど
- 強まる動作と楽になる姿勢:車を降りた直後や荷物の積み下ろしで痛む、前かがみで休むと落ち着くなど
- 生活や仕事への影響:買い物の途中で休む、仕事や送迎の予定に響くなど
ポイント
いつ・どの動作で・どこがしびれるかを記録しておくと、原因の絞り込みや仕事・家庭の予定に合わせた治療計画の相談が進めやすくなります。
当院では患者さん一人ひとりの症状に合わせてご相談を受け付けておりますので、お困りの際はお気軽にご来院ください。
よくある質問
Q. 坐骨神経痛や腰痛があるときは、歩いたほうが良いですか?
A. 痛みが激しい時期や、歩くほどしびれが強まる場合は無理に歩くのを控え、しびれが増す動作を避けてください。一方で、強い痛みが落ち着いてきたら、安静にしすぎると体力や腰を支える筋力が落ち、かえって腰痛が起きやすくなります。中腰を避けるなど姿勢に気をつけながら、無理のない範囲で運動や体操を続けるとよいでしょう。原因となる疾患によって適した運動量が異なるため、まずは医師に相談して目安を確認してください。
Q. 腰に一瞬電気が走るような痛みがある場合、考えられる原因は何ですか?
A. 前かがみや物を持ち上げる動き、姿勢を変えた瞬間に、腰から脚へピリッと電気が走るような痛みが響くことがあります。この場合、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などで、神経が一瞬刺激されたり押されたりしている可能性があります。ただし、筋肉や関節のトラブルでも似た痛みが起こることがあるため、続く場合は整形外科での確認をお勧めします。
Q. 坐骨神経痛の薬には副作用がありますか?
A. 神経の痛みに使われる薬(プレガバリンなど)では、主な副作用として、ふらつくようなめまいや眠気、むくみ、体重増加などが出ることがあります。めまいや眠気が出ることがあるため、飲んでいる間は車の運転など危険をともなう機械の操作は控え、気になる症状が出た場合は自己判断で中断せずご相談ください。
参考文献
1. 知っておきたい帯状疱疹のこと | つくばみらい市公式ホームページ. https://www.city.tsukubamirai.lg.jp/jyumin/kenkou-iryou-hoken/kansen/page004204.html
2. 大腸がん検診について:[国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方へ]. https://ganjoho.jp/public/pre_scr/screening/colon.html
3. Danazumi MS, Nuhu JM, Ibrahim SU et al. Effects of spinal manipulation or mobilization as an adjunct to neurodynamic mobilization for lumbar disc herniation with radiculopathy: a randomized clinical trial. The Journal of manual & manipulative therapy. 2023. PMID: 36950742 / DOI: 10.1080/10669817.2023.2192975
2002年 札幌医科大学麻酔科入局、札幌医科大学医学部附属病院 麻酔科
2003年 旭川赤十字病院 麻酔科
2004年 帯広厚生病院 麻酔科
2005年 横浜市立大学整形外科入局、横浜市立大学附属市民総合医療センター 整形外科
2006年 聖ヨゼフ病院(横須賀市) 整形外科
2008年 藤沢市民病院 整形外科
2010年 国際医療福祉大学熱海病院 整形外科
2012年 平塚共済病院 整形外科・手外科センター 医長
2015年 熊本機能病院 整形外科(国内留学)
2016年 横浜市立大学 整形外科助教 上肢・腫瘍グループ
2017年 同グループチーフ
2018年 一宮西病院 整形外科 副部長
2023年 たけもと整形外科 開院
2026年 医療法人紫翠会 木曽川たけもと整形外科 理事長
日本整形外科学会/日本専門医機構 整形外科専門医
日本手外科学会 手外科専門医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本スポーツ協会公認スポーツドクター
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医
麻酔科標榜医
産業医、日本医師会認定産業医
小児運動器疾患指導管理医師
身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由)
難病指定医
臨床研修指導医
【所属学会】
日本整形外科学会
日本手外科学会
日本骨粗鬆症学会
日本整形外傷学会
日本運動器科学会
日本肘関節学会
中部日本整形外科災害外科学会
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